妊娠中の女子生徒に体育の実技を強要した?一方的な退学届の送付も

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2015年11月に妊娠中の3年生の女子生徒に対して、体育の実技を求めていたという報道がありました。

この報道に対して現在、賛成・反対などの意見が飛び交い、大きな議論となっています。

上記の表現だけだと、

妊婦に運動させるなんてけしからん!

と反応してしまいますが、

どうやら議論の論点はそこではないようです。

どういうことでしょうか。

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妊娠・体育・休学の経緯

この件の経緯は

昨年8月ごろ、女子生徒の妊娠が発覚しました。

そして11月ごろ、

妊娠5ヶ月の女子生徒に対して学校側は

出産準備に専念するため、休学を勧めます。

その時、女子生徒に対して

  • 体育の成績が「1」なので卒業ができない
  • 補習では球技や持久走などの実技が必要

と説明します。

この女子生徒は結局、今年1月から休学し、

8月に同じ高校の通信制への転籍を予定しているそうです。

経緯を見てみると、おかしなところはありません。

しかし、問題がややこしくなってしまういくつかのポイントがありました。

背景を含めて、見ていきます。

自由な校風

問題となったこの東京の高校は自由な校風で制服も指定のものはないそうです。

「自由」の捉え方が人それぞれで、

個性が持てるという意見もあれば、

規則があってないようなものという意見もあり、

生徒によってはやり過ぎてしまうこともあるそうです。

参考:みんなの高校情報

問題点・ポイント

問題とされている部分について確認します。

生徒本人や保護者の意向に反し、一方的に休学届を送りつけた

この学校では

生徒本人や保護者の意向に反し、一方的に休学届が送られたといいます。

これが問題を一番ややこしくしている点でしょう。

十分な話し合いの結果休学となれば今回の騒動にはならなかったかもしれません。

これでは学校が休学を強制した、

すなわち、出産するのであれば学校に来てはいけないという通告ともとれます。

学校の対応の理由

この学校の副校長は

「育児に専念すべき。卒業(学業を継続する)のは甘い。」

という旨の発言をしました。

発言は少し強硬な印象も受けますが、

実は出産もしながら、みなと同じように卒業するのにはかなり高いハードルがあります。

そのまま通学しても留年の可能性

全日制の場合一般的には授業の1/3の出席が単位取得の条件です。

一定以上の単位数を落とすと留年となります。

つまり、出産のために授業を休むと、

出席が足りず留年してしまう可能性があるのです。

他にも留年になってしまう場合はあります。

それは、赤点が多い場合です。

一般的には、年間で何度かある試験の平均点が赤点に足りているかで判断され

赤点が多いと留年ということになります。

つまり、出席が足りていても点数が足りず留年となるわけです。

今回のケースでは、報道の通りであれば4月ころの出産です。

その前後だけでも勉強が遅れれば、テストの点数にも影響してしまい、

卒業にハンデがついてしまいます。

体育の授業がクローズアップされていますが、

単位は当然体育に限りません。

妊娠・出産となれば一時的にでも学校を休むことになります。

実は休むだけで卒業が難しくなるのが高校というわけなんですね。

ただし、もちろん学校にできたこともあります。

学校としてできたこと

学業を継続してなんとか出席日数を満たし、勉強も努力したとしても

今回の「体育の実技」は解決しません。

ここは学校の対応がマズかったといえます。

すでに体育の成績が1だったということで、

本人にも問題はあったかもしれませんが、

妊娠にかかわらず他にもそういう生徒はいるはずです。

それを救済するのが補講ですよね。

学校側は今まで体育の補講は実技のみとしていたそうです。

それに則って今回も補講を受けるのであれば「実技が必要」と伝えたそうですが、

そこは配慮してあげても良かったように思います。

実際体育の単位を取ることは卒業に必要ですが、

「体育の評価は実技だけではない」(スポーツ庁学校体育室)

そうです。

学校も、補講を座学での対応も検討中だったということですが、

次からはそうしてあげてください。

府民の要請があった

「生徒の妊娠は社会の中でマイナスイメージがかなり強い。」

朝から夕方まで学業に取り組む全日制の趣旨にふさわしくなく、

これは府民の要請だ。」

これも副校長の言葉です。

確かに全日制だと育児のための十分な時間がとれないとも考えられます。

また、学校には他の生徒もいます。

同じ生徒として特別扱いを目にしたらどう思うか、

対応には配慮してあげたいと思うはずですが、

評価の点では平等にするべきというのも分かります。

それらを踏まえたうえで休学、通信制を勧めたのでしょう。

通信制へ移った場合

通信制へ移った場合には出産・育児をしながらでも卒業がしやすくなります。

通信制は基本的にはレポートを提出し、テストを受け、単位取得となります。

たしかに、年間数日間の「スクーリング」が義務付けられますが、

全日制と比べればこなしやすいものです。

また、通信制でも体育の実技の授業はあります

体育館や運動場に集まり、みなで体育を受けます。

頻度も少なく、月に1回程度です。

実際に高校生が出産をするというのはよく聞く話です。

出産を考えた場合、通信制高校に転校するというのは一つの妥当な案と言えます。

同級生と一緒に卒業したかった

  • 配慮して卒業をフォロースべき
  • みなと同じことを求めるのは甘えすぎ

と、ここも評価が分かれているところです。

なぜなら実際問題として

学校生活でできない部分があるためです。

文部科学省は

「本人が学業継続を望む場合、受け止めるべき」

としています。

正にその通りです。

しかし高校は義務教育ではありません

ここがポイントとされいます。

義務ではないため、自分の目標などに合わせて学校を選びます。

入学後であっても状況が変われば退学することもできます。

時代が進み、高校もほとんどの生徒が進学しています。

日本社会も高校卒業を前提としている部分があります。

義務教育ではないにしても、高校は半義務教育的な時期です。

生徒のためにどこまでしてあげるべきかの判断はとても難しいです

まとめ

学校側の休学勧告ともとれる行動は批判されるべきものです。

しかし、中身を見れば生徒と子どものために取った行動も見られます。

できたこととしては、学校内という狭い範囲で考えるのではなく

ルールとしてどうなのか、文科省などに確認をすることだったといえます。

そうすれば、いい落とし所も見つけられたはずです。

今回は大きな批判の対象になってしまいましたが、

副校長は

「今回の事態を受け、今後妊娠した生徒への配慮を検討したい」

と話しています。

具体的な配慮はまだ出ていませんが、

卒業を完全フォローということにはならないでしょう。

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