引用:防衛省・自衛隊
2017年4月25日は北朝鮮の軍創設85周年記念日ということで、核実験が行われるのではないか、もしくはミサイルが発射されるのではないか、と言われていました。今のところ大規模な火力訓練が報じられる程度に収まっていますが、万が一ミサイルが発射された場合の日本の迎撃態勢はどうなっているのでしょうか・
ミサイル迎撃システム
日本に向けて発射されたミサイルに対して、落ちる前に迎撃する方法としては
- イージス艦からの迎撃ミサイル(SM-3)
- 自衛隊や米軍基地にある迎撃ミサイル(PAC-3)
による迎撃があります。
イージス艦とは最強の対空迎撃艦で、日本には6隻存在します。
その感知範囲は450km、同時に補足できる対象は200以上とされ、信頼のできる防空艦です。
ミサイルに対しての対応もされてきており、迎撃専用のミサイル(SM-3)が開発されました。
配備状況は、現在日本のイージス艦4隻、アメリカのイージス艦18隻の合わせて22隻が日本海上に就航しています。
今後も増えそうな状況です。
アメリカの18隻に驚きましたが、アメリカには84隻ものイージス艦が存在するそうです。
しかし整備中や他の任務に当たるためのものもあるはずなので、今回北朝鮮に対してかなりのイージス艦を割いていると分かります。
全弾撃ち落とせる確率は99.5%
イージス艦に搭載された迎撃用ミサイルは、
- ミサイル1発に対して2発発射される
- 命中率は96.76%
ということです。
かなりの精度と言えます。
しかし万が一迎撃に失敗した場合には、自衛隊や米軍基地の迎撃用ミサイルが発射されます。
対応範囲に限りがあるため、基地から離れすぎていると使用できないということですが、こちらの精度は命中率およそ86%です。
2段構えでのミサイル迎撃で、この場合の迎撃確率は99.564%となります。
100%ではありませんがこの数字を見る限りひとまず安心ですね。
ただし北朝鮮は中距離ミサイルの「ノドン」を200発以上保有していると言われています。
発射台の数は40ということですが、それでもすべてを同時に使った場合、イージス艦の数よりも多いミサイルとなってしまいます。
イージス艦が同時にいくつもの標的を対象にできるといっても、限界はあるはずです。
しかもイージス艦一隻に搭載されているミサイル迎撃用のミサイルは10発程度という情報もあり、200発のミサイルには対応できない計算です。
アメリカのイージス艦についてはミサイルの搭載数を公表していないそうで、実際には100発以上が搭載されているという推測もあります。
万が一ミサイルが発射された場合には全国瞬時警報システム(Jアラート)があります。
こちらもご確認ください。

生物化学兵器を使用の場合
核弾頭のミサイルは脅威ですが、それ以外の通常のミサイルでも直撃すれば大きな被害となってしまいます。
それに加えて北朝鮮はサリンなどの生物化学兵器を弾頭に搭載するかもしれません。
迎撃したとしてもそれらが空に撒かれてしまう可能性があります。
かなりの上空で迎撃し、拡散させてサリンなどを薄めたとしても、そもそもミサイルの破片などが落ちてくる危険もあります。
大きなものだと100キロを超える場合もあるそうで、迎撃が成功するとしても注意が必要です。
現時点での北朝鮮がミサイル発射する可能性
現時点では北朝鮮がミサイルに燃料を入れる様子が見られないため、ミサイルの発射はないと言われています。
しかし、北朝鮮の空撮写真を撮っている衛星は、1日に数回しか北朝鮮上空を通過しないため、その間の行動は分かりません。
固形の燃料を使うのであれば準備はすぐに終わる可能性がある、という指摘もあります。
ただし24時間体制で北朝鮮の監視をしている衛星もあり、少なくともミサイルが発射された瞬間には、発せられる赤外線をキャッチし発射情報を伝えてくれるそうです。
サイバー攻撃で阻止
ミサイル防衛も重要ですが、その前にミサイル自体を発射できないようにインターネットを通じてコンピュータを停止させるなどの、サイバー攻撃も噂されています。
16日には北朝鮮がミサイル実験をしました。
しかし直後に爆発し失敗に終わっています。
これがアメリカのサイバー攻撃による発射妨害だというのです。
しかし同時に北朝鮮によるサイバー攻撃もかなりのものがあり
- 金正恩暗殺がテーマの映画制作会社への攻撃
- 韓国の金融機関やメディアへの攻撃
- アジアのカジノ、金融機関への攻撃
- バングラデシュ中央銀行の口座ハッキング
など、これらが全て北朝鮮のしわざだと言われています。
すでにインターネット上では戦いが始まっているのですね。
研究者に対する経済制裁
アメリカはシリアのサリン使用を非難し、サリンの研究に関する職員271名に対して経済制裁をすると宣言しました。
具体的な制裁内容は
- アメリカ国内に保有する資産の凍結
- アメリカ人との取引の禁止
というものです。
これは、北朝鮮で生物化学兵器の研究に関わっている研究者に対する警告とも言われています。
実際に使用した場合にはその後厳しい状況が待っていると伝え、研究を止めさせたり、遅らせることが目的なのでしょう。
たしかに、これらの研究者は北朝鮮により保護されるかもしれませんが、実際に戦争となれば北朝鮮自体は劣勢にあると言われており、国がなくなってしまうかもしれません。
一つの考えられる対策なのでしょう。
まとめ
北朝鮮が核実験行わなかった理由は、一歩引いたということなのでしょうか。
しかし、しっかりと大規模な訓練を行うことにより、戦う姿勢は見せ続けています。
引き続き警戒は必要なようです。